会社設立や創業融資について調べていると、「特定創業支援等事業」という言葉を目にすることがあります。
これは、創業に必要な知識を学びながら、一定の要件を満たすことで、会社設立時の登録免許税の軽減などを受けられる制度です。
ただし、受講から証明書の取得までには時間がかかります。設立直前に申し込んでも間に合うとは限らないため、利用を考えている方は早めに確認しておきましょう。
この記事では、制度の概要と主なメリット、利用の流れを分かりやすく解説します。
1.特定創業支援等事業とは
特定創業支援等事業は、国の認定を受けた市区町村の計画に基づき、自治体や商工会議所などの支援機関が行う、継続的な創業支援です。
創業塾やセミナー、個別相談などを通じて、主に次の4分野を学びます。
分野 | 学ぶ内容の例 |
経営 | 事業の進め方、事業計画の考え方 |
財務 | 開業資金、収支や資金繰りの基本 |
人材育成 | 人材の確保や育成 |
販路開拓 | 顧客の見つけ方、商品・サービスの販売方法 |
所定の支援を受け、要件を満たした方は、市区町村に申請することで証明書の交付を受けられます。すべての創業セミナーが対象になるわけではないため、申込み前に対象の講座・相談かを確認しましょう。
2.主なメリットは、会社設立費用や資金調達の負担軽減です
会社設立時の登録免許税の軽減
一定の要件を満たす方が株式会社や合同会社を設立する場合、設立登記にかかる登録免許税の軽減を受けられます。
ただし、証明書を取得すれば、どこで設立しても利用できるわけではありません。設立する場所や創業からの期間などの条件を確認し、設立登記に必要な証明書を準備することが大切です。
日本政策金融公庫の融資での金利優遇
日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」では、対象となる支援を受け、有効な証明書を取得した方は、特別利率の対象になります。
なお、金利優遇と融資の審査は別です。証明書があれば必ず借りられるという制度ではありません。
このほか、創業関連保証などに関する支援措置もあります。利用したい制度ごとに条件が異なるため、証明書の取得と併せて、適用条件を確認しましょう。
3.利用から証明書取得までの基本的な流れ
一般的には、次の順番で進めます。
順番 | 行うこと |
① 対象事業を確認する | 創業予定地などの自治体で、対象となる講座・個別相談を調べる |
② 申し込む | 対象者の条件や受講日程、費用などを確認して申し込む |
③ 所定の支援を受ける | 必要な分野・回数・期間などの条件を満たす |
④ 証明書を申請する | 修了後、自治体の案内に従って交付申請をする |
⑤ 優遇措置を利用する | 会社設立や融資などの手続きで、必要に応じて証明書を提出する |
受講しただけで、すべての優遇措置が自動的に適用されるわけではありません。証明書の申請と、利用する制度側の手続きも必要です。
4.証明書の取得までには、余裕を持った日程が必要です
特定創業支援等事業は、短時間の講座を一度受ければ終わるものではありません。原則として、1か月以上にわたる4回以上の継続的な支援が基本です。具体的な受講方法は、自治体や対象事業によって異なります。
また、受講期間だけでなく、次の時間も考えておく必要があります。
- 申込みから講座が始まるまで
- 必要な支援をすべて受け終わるまで
- 修了後、証明書を申請して交付されるまで
そのため、「1か月あれば証明書を取得できる」とは限りません。会社設立時の登録免許税の軽減を希望する方は、受講開始日と証明書の交付予定を先に確認しましょう。
設立や開業を急いでいる場合は、優遇措置のメリットと、予定している契約・支払いへの影響を併せて考えることが大切です。
会社設立と融資の段取りについては、会社設立と創業融資はどちらが先?日本政策金融公庫への申込みから逆算した進め方も参考にしてください。
5.東京都23区の特定創業支援等事業を確認する
特定創業支援等事業の受講方法や開催日程、証明書の申請条件は、区によって異なります。創業予定地などに合わせて、各区の解説をご確認ください。
エリア | 記事へのリンク |
千代田区 | |
中央区 | |
港区 | |
新宿区 | |
文京区 | |
台東区 | |
墨田区 | |
江東区 | |
品川区 | |
目黒区 | |
大田区 | |
世田谷区 | |
渋谷区 | |
中野区 | |
杉並区 | |
豊島区 | |
北区 | |
荒川区 | |
板橋区 | |
練馬区 | |
足立区 | |
葛飾区 | |
江戸川区 |
講座の募集・開催状況は変更される場合があります。利用する際は、各記事に掲載している自治体・実施機関の最新情報もご確認ください。
6.会社設立・創業融資と併せてご相談ください
特定創業支援等事業は、創業の知識を学び、設立費用や資金調達の負担を軽くするための選択肢です。一方で、受講や証明書の取得には時間がかかるため、設立・開業の予定と併せて検討する必要があります。
「自分も利用できるのか」「設立希望日に間に合うか」「創業融資の準備も進めたい」とお考えの方は、当事務所へご相談ください。
予定している事業や設立時期を伺い、制度の利用も含めた準備の進め方をご案内します。
融資との関係や相談内容については、特定創業支援等事業についてお悩みの方へもご覧ください。
