会社設立を考えている方の中には、
「会社を設立した後、ホームページを作りたい」
「広告やチラシを使って新規顧客を増やしたい」
「開業時の販路開拓に使える補助金はないのか」
と考えている方も多いのではないでしょうか。
会社を設立すると、人件費や事務所の家賃だけでなく、ホームページ、広告、チラシ、店舗設備など、売上を作るための費用も必要になります。
このような創業後の販路開拓を支援する制度の一つが、「小規模事業者持続化補助金<創業型>」です。
2026年の第4回公募では、補助上限額は200万円、補助率は2/3となっており、一定の要件を満たすインボイス特例対象事業者は50万円の上乗せを受けられる可能性があります。
ただし、単に「新しく会社を設立した」というだけでは申請できません。
会社設立日、特定創業支援等事業を受けた時期、従業員数など、いくつか重要な要件があります。
この記事では、これから会社設立を考えている方を中心に、小規模事業者持続化補助金<創業型>の対象者、補助金額、対象経費、申請までの流れについて解説します。
1.小規模事業者持続化補助金<創業型>とは
小規模事業者持続化補助金<創業型>は、創業後1年以内の小規模事業者等を重点的に支援する制度です。
小規模事業者が、自ら作成した経営計画に基づいて行う販路開拓や、その販路開拓とあわせて行う業務効率化・生産性向上の取組に必要な経費の一部を補助します。
例えば、
・新規顧客を獲得するためにホームページを作成する
・チラシやパンフレットを作成する
・広告を出してサービスを知ってもらう
・展示会に出展する
・新商品の試作品を開発する
・販路拡大のために必要な設備を導入する
といった取組が考えられます。
つまり、会社を作ること自体に対する補助金ではなく、「会社を作った後、どのように顧客を増やし、売上につなげていくのか」という部分を支援する補助金です。
2.補助上限額は200万円、補助率は2/3
第4回公募では、基本的な補助内容は次のようになっています。
項目 | 内容 |
補助上限額 | 200万円 |
補助率 | 2/3 |
インボイス特例 | 要件を満たす場合50万円上乗せ |
主な対象 | 販路開拓等の取組み |
例えば、補助対象として認められる経費を300万円使用した場合、補助率2/3で計算すると200万円となります。
そのため、通常枠の上限である200万円まで補助される可能性があります。
ただし、補助金は原則として後払いです。
補助事業を実施する際には事業者自身による自己負担が必要であり、補助金は後から支払われる必要があります。
そのため、
「200万円の補助金があるから、自己資金がなくても事業を始められる」
という制度ではありません。
開業資金については、自己資金や日本政策金融公庫などの創業融資とあわせて考える必要があります。
3.最も重要なのは「創業後1年以内」という要件
会社設立を考えている方に、特に注意していただきたいのがこの部分です。
第4回公募では、
・特定創業支援等事業による支援を受けた日
・開業日または会社設立日
の両方が、公募締切時から起算して過去1年以内であることが必要です。
第4回公募の申請締切日は2026年12月15日です。
したがって、第4回については原則として、
2025年12月15日から2026年12月15日まで
の期間内に、
「特定創業支援等事業による支援を受けた日」と「開業日・会社設立日」の両方が入っている必要があります。
ここは、これから会社設立をする方にとって非常に重要です。
補助金を活用したい場合は、単に会社設立日だけを考えるのではなく、特定創業支援等事業を受ける時期も含めてスケジュールを考える必要があります。
4.特定創業支援等事業を受ける必要がある
創業型を利用するには、一定の「特定創業支援等事業」による支援を受けている必要があります。
特定創業支援等事業とは、産業競争力強化法に基づいて、市区町村や市区町村と連携する創業支援機関などが実施する創業支援です。
一般的には、
・創業セミナー
・創業塾
・専門家による継続的な相談
・経営、財務、人材育成、販路開拓などに関する支援
などが行われています。
そして、支援を受けたことを証明する証明書を市区町村から取得し、補助金申請時に提出します。
法人の場合には、もう一つ重要な注意点があります。
特定創業支援等事業による支援を受けた人が、法人の代表者でなければなりません。
例えば株式会社の場合は代表取締役、合同会社の場合は代表社員などが対象となります。
代表者以外の役員や従業員が支援を受けていても、この要件を満たさない場合があります。
5.会社をまだ設立していない人は申請できるのか
ここも誤解しやすいところです。
第4回公募では、「申請時点で開業していない創業予定者」は補助対象になりません。
法人で申請する場合には、申請時点ですでに会社が設立されている必要があります。
一方で、会社は設立済みでも、店舗がまだオープンしていない、ECサイトの販売が始まっていないなど、まだ事業活動を本格的に開始していないケースについては、補助対象となる場合があります。
ただし、補助事業終了までには、商品やサービスの提供を開始して事業活動を始める必要があります。
つまり、
「会社設立前に申請して、採択されてから会社を作る」
という制度ではない点に注意しましょう。
6.対象となる「小規模事業者」とは
創業型という名前ですが、新しく設立した会社であればすべて利用できるわけではありません。
小規模事業者に該当する必要があります。
第4回公募では、従業員数について次の基準が設けられています。
業種 | 常時使用する従業員数 |
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
株式会社や合同会社などの会社、個人事業主などが補助対象となり得ます。一方、一般社団法人や一般財団法人などは対象外とされています。
会社設立時に従業員を多く雇用する予定がある場合には、この基準も確認しておく必要があります。
7.どのような経費が対象になるのか
第4回公募では、主に次の経費が補助対象として示されています。
・機械装置等費
・広報費
・ウェブサイト関連費
・展示会等出展費
・旅費
・新商品開発費
・借料
・委託・外注費
例えば、創業後の販路開拓を目的として、
「新しい顧客を獲得するためにホームページを作る」
「商品の認知度を高めるためにチラシを制作する」
「新しい取引先を探すため展示会へ出展する」
といった使い方が考えられます。
ただし、「対象経費の種類に入っている=必ず補助される」という意味ではありません。
その支出が、申請した経営計画・補助事業計画の実施に必要なものであることが重要です。
8.ホームページ制作費も対象になる可能性がある
会社設立直後に利用を検討する方が多いのが、ホームページ制作費です。
第4回公募でも、「ウェブサイト関連費」が補助対象経費として設けられています。
具体例として、商品販売のための自社ウェブサイトの作成・更新、効果や作業内容が明確なSEO対策、ウェブサイトに掲載する販促用の画像や動画制作などが挙げられています。
ただし、
・補助事業期間内に運用を開始しなかったホームページ
・単なる既存ソフトウェアの更新料
・販売すること自体を目的としたシステムやソフトウェア
など、対象外となるものもあります。
「ホームページを作れば何でも補助される」と考えるのではなく、販路開拓との関連性を明確にする必要があります。
9.補助対象になるのは原則として交付決定後の経費
補助金で非常に注意したいのが、発注や支払いのタイミングです。
補助対象となる経費は、原則として、
・補助事業の遂行に必要であること
・交付決定日以降に発生すること
・補助事業実施期間中に支払いが完了すること
・証拠書類によって支払金額を確認できること
などの条件を満たす必要があります。
したがって、
「補助金を申請する予定だから、先にホームページ制作を発注しておこう」
という対応には注意が必要です。
補助金を利用する場合には、採択だけでなく「交付決定」の時期まで考えて事業スケジュールを組むことが大切です。
10.第4回公募のスケジュール
2026年9月15日時点で公表されている第4回公募の主なスケジュールは次のとおりです。
項目 | 日程 |
公募要領公開 | 2026年5月27日 |
申請受付開始 | 2026年11月5日 |
事業支援計画書(様式4)発行受付締切 | 2026年12月4日 |
申請受付締切 | 2026年12月15日17時 |
採択発表 | 2027年3月頃予定 |
申請は電子申請のみで、郵送では申請できません。
また、申請締切は12月15日ですが、商工会・商工会議所に依頼する「事業支援計画書(様式4)」の発行受付締切は12月4日です。
つまり、12月15日から準備を始めるのでは遅いということです。
商工会・商工会議所での確認にも時間がかかる場合があるため、余裕をもって準備する必要があります。
11.申請にはGビズIDプライムが必要
小規模事業者持続化補助金<創業型>の申請には、「GビズIDプライム」のアカウントが必要です。
GビズIDは、この補助金以外の国の電子申請でも利用することができます。
会社設立後に補助金を検討している場合には、早めに取得手続きを進めておくとよいでしょう。
また、IDやパスワードを申請代行業者などの第三者へ渡すことは禁止されていますので、この点にも注意が必要です。
12.申請までの大まかな流れ
創業型の申請から補助金交付までの流れを簡単に整理すると、次のようになります。
- 会社設立・開業
- 特定創業支援等事業による支援を受ける
- GビズIDプライムを取得する
- 経営計画・補助事業計画を作成する
- 商工会・商工会議所へ事業支援計画書の発行を依頼する
- 電子申請を行う
- 採択審査
- 採択後、必要な見積書等を提出する
- 交付決定
- 補助事業を実施する
- 実績報告を行う
- 補助金額が確定する
- 補助金を請求する
- 補助金が入金される
採択されても、すぐに事業を開始できるわけではありません。
補助金事務局から交付決定通知を受け、その交付決定日以降に補助事業を開始するのが基本です。
13.会社設立を考えている段階から準備した方がよい理由
創業型の特徴を考えると、会社を設立してから補助金を探し始めるよりも、会社設立前から制度を確認しておくことをおすすめします。
理由は、
・会社設立日が申請要件に関係する
・特定創業支援等事業を受ける必要がある
・GビズIDの取得が必要
・事業計画を作る必要がある
・商工会・商工会議所への依頼が必要
・交付決定前の発注・支払いに注意が必要
だからです。
特に現在の第4回では、会社設立日と特定創業支援等事業による支援を受けた日の両方が「公募締切から過去1年以内」という要件になっています。
会社設立時期を決める際には、補助金のスケジュールも確認しておく価値があります。
14.まとめ|会社設立・創業融資・補助金をまとめて考える
小規模事業者持続化補助金<創業型>は、創業後の販路開拓を進める小規模事業者にとって活用を検討したい制度です。
第4回公募では、
・補助上限200万円
・補助率2/3
・インボイス特例は50万円上乗せ
・創業後1年以内
・特定創業支援等事業を受けていること
・GビズIDプライムが必要
といった点が主なポイントになります。
ただし、補助金は「会社設立費用そのものを補助してくれる制度」ではありません。
会社設立後にどのように顧客を獲得し、事業を成長させるのかという経営計画を考え、その計画に基づいて販路開拓を行うための制度です。
そのため、会社設立だけ、創業融資だけ、補助金だけを個別に考えるのではなく、
「会社をいつ設立するのか」
「開業資金をどう確保するのか」
「設立後にどのように売上を作るのか」
まで一緒に考えておくことが重要です。
当事務所では、会社設立、創業融資、小規模事業者持続化補助金など、創業時に必要となる手続きをまとめてサポートしています。
「会社設立後に補助金を使えるか確認したい」
「特定創業支援等事業をいつ受ければよいかわからない」
「創業融資と補助金を組み合わせて資金計画を作りたい」
という方は、会社設立前の段階からお気軽にご相談ください。
なお、補助金制度は公募回ごとに要件やスケジュールが変更されることがあります。申請時には必ず最新の公募要領をご確認が必要です。
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