「特定創業支援等事業を受けると、創業融資に有利になると聞いた」
「会社設立の登録免許税が安くなるらしい」
「区のホームページを見たけれど、結局何をすればよいのか分からない」
会社設立や創業融資を検討している方の中には、このように特定創業支援等事業について調べている方も多いのではないでしょうか。
ただ、実際にご相談を受けていると、特定創業支援等事業そのものを知りたいというよりも、本当の目的は、
「創業融資を受けたい」
「開業資金を準備したい」
「会社設立と融資を失敗なく進めたい」
というケースが少なくありません。
そこでこの記事では、特定創業支援等事業の概要を簡単に整理したうえで、創業融資を受けたい方がどのように考えるべきかを解説します。
特定創業支援等事業は創業を支える制度です
特定創業支援等事業とは、簡単に言うと「市区町村などが実施する創業支援制度」です。
創業に必要な知識を学び、一定の要件を満たすことで、自治体から証明書の交付を受けることができます。
証明書を取得すると、会社設立時の登録免許税の軽減や、自治体の制度融資での優遇などを受けられる場合があります。
つまり、特定創業支援等事業は、「創業時の負担を軽くするための支援制度」なのです。
ただ、ここで注意したいのは、「特定創業支援等事業は創業融資そのものではない」という点です。
特定創業支援等事業を受けても融資が決まるわけではありません
特定創業支援等事業を受けたからといって、必ず創業融資を受けられるわけではありません。
創業融資の審査では、主に次のような点が確認されます。
- 創業する理由
- これまでの経験
- 自己資金
- 事業計画
- 売上の見込み
- 借入金の使い道
- 返済できる見込み
特定創業支援等事業の証明書は、創業準備を進めていることを示す材料の一つにはなります。
しかし、融資審査で最も重要なのは、事業計画の内容や資金計画、返済可能性です。
そのため、「特定創業支援等事業を受ければ安心」
ではなく、「創業融資の準備とあわせて活用する制度」
と考えるのが正しい位置づけです。
詳細な手続きは23区ごとの記事で確認しましょう
特定創業支援等事業は、各自治体によって受講方法や申請方法が異なります。
たとえば、
- どのセミナーを受ける必要があるか
- オンライン受講ができるか
- 証明書の申請先はどこか
- 申請から交付までどのくらいかかるか
- 制度融資でどのような優遇があるか
といった点は、区ごとに確認する必要があります。
そのため、この記事では制度の細かい手続きまでは深入りしません。
各区ごとの受講方法や証明書の申請方法については、23区別の記事で詳しく解説しています。
会社設立を予定している区、または創業予定地の区の記事を確認しておくとよいでしょう。
創業時に本当に考えるべきことは資金調達です
特定創業支援等事業について調べている方の多くは、最終的には創業資金の準備で悩んでいるのではないでしょうか。
創業時には、想像以上にお金が必要になります。
たとえば、
- 会社設立費用
- 事務所や店舗の契約費用
- 内装費
- 設備購入費
- ホームページ制作費
- 広告宣伝費
- 仕入資金
- 当面の運転資金
などです。
事業を始めるのはいいのですが、開業時は売上がまだ安定していないことが多いのです。
そのため、創業前後の資金計画をどのように立てるかが非常に重要になります。
特定創業支援等事業は、この創業準備を下支えする制度ではあります。
しかし、事業を実際に動かすための資金を確保するには、創業融資をしっかり検討する必要があります。
創業融資の代表的な選択肢
創業時の融資として代表的なものには、主に次の2つがあります。
①日本政策金融公庫の創業融資
一つ目は、日本政策金融公庫の創業融資(新規開業・スタートアップ支援資金)です。
創業時の資金調達を考える場合、多くの方にとって有力な選択肢になります。
日本政策金融公庫には、創業者向けの融資制度が用意されており、これから事業を始める方や、創業後間もない方も相談しやすいのが特徴です。
また、公庫の融資の特徴として申込みから融資実行まで約1ヶ月のスピード感があります。
創業時は実績が少ないため、民間金融機関だけで融資を受けるのが難しい場合もあります。
その点、日本政策金融公庫は創業者向けの融資実績が多く、創業時の資金調達ではまず検討したい融資先です。
②自治体の制度融資
もう一つは、自治体の制度融資です。
制度融資は、自治体、金融機関、信用保証協会が関係する融資制度です。
特定創業支援等事業の証明書を取得していると、利子補給や保証料補助などの優遇を受けられます。
ただし、制度融資は関係する機関が多いため、手続きに時間がかかる傾向があります。こちらは、申込みから融資実行まで2~3か月が目安になっております。
創業時は、開業日や物件契約、設備購入のタイミングが迫っていることもあります。
そのため、資金が必要な時期までに融資が間に合うかどうかも重要です。
制度融資にはメリットがありますが、スピード面では注意が必要です。
創業時は日本政策金融公庫を中心に考えるのがおすすめです
創業時の融資を考える場合、まずは日本政策金融公庫の創業融資を中心に検討することをおすすめします。
理由は、創業者向けの制度が整っており、創業時の資金調達として利用しやすいからです。
もちろん、制度融資が悪いわけではありません。
自治体によっては、利子補給や保証料補助があり、条件面で有利になることもあります。
しかし、制度融資は手続きに時間がかかる点があります。
そのため、創業直後に必要な資金を早めに確保したい場合は、日本政策金融公庫を優先して検討し、そのうえで制度融資も併用できるか考える流れが現実的です。
特定創業支援等事業は、この資金調達全体を有利に進めるための補助的な制度として活用するのがよいでしょう。
会社設立と創業融資は順番が大切です
会社設立を予定している方は、会社を作ってから融資を考えればよいと思われるかもしれません。
しかし、実際には会社設立と創業融資は、事前に一体で考えた方がいいです。
たとえば、
- 資本金をいくらにするか
- 事業目的をどう記載するか
- 本店所在地をどこにするか
- 設立日をいつにするか
- 融資申込のタイミングをどうするか
- 自己資金をどのように見せるか
といった点は、創業融資にも関係してきます。
会社を設立した後で、
「この内容なら、先に相談しておけばよかった」となるケースもあります。
特に創業融資を受けたい方は、会社設立の前から資金計画を整理しておくことが大切です。
特定創業支援等事業は受けた方がいいのか
特定創業支援等事業は、受けられるのであれば活用した方がよい制度です。
登録免許税の軽減や制度融資での優遇など、創業時の負担を抑えられる可能性があるからです。
ただし、優先順位を間違えないことが大切です。
創業時に最も重要なのは、「事業に必要な資金を確保」することです。
特定創業支援等事業の受講や証明書の取得に時間を使いすぎて、創業融資の準備が遅れてしまうと、本来の目的から外れてしまいます。
まずは、
- いくら資金が必要なのか
- いくら借りたいのか
- 何に使うのか
- 返済できる計画になっているのか
- 日本政策金融公庫に申し込むべきか
- 制度融資も検討すべきか
を整理することが大切です。
そのうえで、特定創業支援等事業を活用するかどうかを考えると、無駄のない準備ができます。
創業融資では事業計画書の作成が重要です
日本政策金融公庫の創業融資では、事業計画書の内容が重要です。
単に希望額を書くだけではなく、
- なぜその事業を始めるのか
- これまでの経験をどう活かせるのか
- どのように売上を作るのか
- 借りた資金を何に使うのか
- 返済の見込みはあるのか
を分かりやすく説明する必要があります。
特に創業時は、過去の決算書や実績がないことが多いため、計画の説得力が大切になります。
自己資金、経験、売上計画、資金使途の整合性が取れていないと、融資審査で不利になる可能性があります。
そのため、創業融資を考えている方は、特定創業支援等事業の受講だけで安心せず、融資申込に向けた準備をしっかり行う必要があります。
まとめ
特定創業支援等事業は、創業者にとって役立つ制度です。
会社設立時の登録免許税の軽減や、制度融資での優遇を受けられる場合があり、創業時の負担を軽くする効果があります。
しかし、特定創業支援等事業は創業融資そのものではありません。
融資を受けるためには、事業計画、自己資金、資金使途、返済可能性などを整理する必要があります。
創業時の資金調達では、まず日本政策金融公庫の創業融資を中心に検討し、必要に応じて制度融資や特定創業支援等事業の優遇を活用する流れがおすすめです。
当事務所では、会社設立と日本政策金融公庫の創業融資サポートを行っています。
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このようなお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。
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