行政書士の田中さん

清掃業・ハウスクリーニング業で創業融資を受けるには?開業資金と事業計画書のポイント

清掃業・ハウスクリーニング業は、比較的少ない資金から始めやすく、個人でも開業しやすい業種です。

一方で、業務用の清掃機器や車両をそろえたり、法人向けの定期清掃を受注するために従業員を採用したりする場合には、まとまった資金が必要になります。

また、開業当初から安定して依頼が入るとは限りません。売上が安定するまでの広告費、ガソリン代、人件費などを確保するため、創業融資を検討することも大切です。

この記事では、清掃業・ハウスクリーニング業で開業または会社設立を考えている方に向けて、必要な資金、利用できる融資制度、事業計画書を作成する際のポイントを解説します。

1.清掃業・ハウスクリーニング業の主な開業形態

清掃業・ハウスクリーニング業といっても、対象となる顧客や作業内容によって、必要な設備や営業方法が異なります。

代表的な業務には、次のようなものがあります。

  • 一般家庭の水回りや室内の清掃
  • エアコンクリーニング
  • 賃貸住宅の退去後清掃
  • オフィスや店舗の日常清掃
  • マンション共用部分の定期清掃
  • 床の洗浄やワックスがけ
  • 宿泊施設や民泊施設の清掃
  • 工場や倉庫の清掃

一般家庭を対象とするハウスクリーニングは、少人数でも始めやすい事業です。一方、ビルやマンションの定期清掃では、業務用機器、作業車両、従業員などが必要になることがあります。

創業計画を立てる際は、単に「清掃業」とするのではなく、誰に対して、どのような清掃サービスを提供するのかを明確にしましょう。

2.清掃業・ハウスクリーニング業の開業に必要な資金

開業資金は、サービス内容や事業規模によって大きく異なります。主な費用は、設備資金と運転資金に分けて考えます。

設備資金

設備資金には、長期間使用する機械や車両などの購入費が該当します。

  • 業務用掃除機
  • 高圧洗浄機
  • ポリッシャー
  • エアコンクリーニング機材
  • 脚立、工具、作業用品
  • 作業用車両
  • パソコン、プリンター
  • 事務所や倉庫の初期費用
  • ホームページの制作費

融資を申し込むときは、購入予定の機器や車両について、見積書を準備することが重要です。

特に車両については、「なぜ必要なのか」「中古車では対応できないのか」「売上規模に対して高額すぎないか」といった点も確認されます。

運転資金

運転資金は、事業を継続するために必要な日常的な支出です。

  • 洗剤や消耗品の仕入代金
  • ガソリン代、駐車場代、高速道路代
  • 広告費
  • 求人費
  • 従業員やアルバイトの人件費
  • 外注費
  • 家賃や倉庫代
  • 通信費
  • 損害保険料
  • 法人を設立する場合の社会保険料

清掃業では、顧客からの入金より先に、人件費や交通費などを支払うことがあります。法人や管理会社との取引では、請求から入金まで1~2か月かかる場合もあるため、その期間を考慮して運転資金を計算する必要があります。

3.清掃業・ハウスクリーニング業で利用を検討できる創業融資

代表的な融資制度として、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」があります。

新たに事業を始める方や、事業開始後おおむね7年以内の方が対象で、設備資金と運転資金に利用できます。融資限度額は7,200万円、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内です。ただし、実際の融資額や返済期間は審査によって決まります。

このほか、都道府県や市区町村の制度融資を利用できる場合もあります。自治体、金融機関、信用保証協会が連携する制度で、自治体によっては利子や信用保証料の一部について補助を受けられることがあります。

どの制度が適しているかは、開業する地域、必要な金額、開業時期、自己資金の状況などによって異なります。

4.融資審査で確認されやすいポイント

清掃業・ハウスクリーニング業の経験があるか

融資審査では、これまでの経験と新しく始める事業との関係が重視されます。

清掃会社での勤務経験がある場合は、次の内容を整理しておきましょう。

  • 経験年数
  • 担当していた清掃の種類
  • 使用できる機械や薬剤
  • 現場責任者としての経験
  • 見積りや顧客対応の経験
  • 従業員の管理経験

勤務経験は、職務経歴書、給与明細、源泉徴収票などで説明できるようにします。

未経験で開業する場合は、研修の受講、資格の取得、フランチャイズへの加盟、経験者の採用など、技術不足を補う方法を示す必要があります。

顧客を獲得できる見込みがあるか

清掃業は参入しやすい反面、競合も少なくありません。そのため、「開業すれば仕事が入る」という説明だけでは、売上計画の根拠として不十分です。

次のような集客方法を具体的に記載しましょう。

  • ホームページや検索広告からの集客
  • チラシの配布
  • 地域のポータルサイトへの掲載
  • 不動産会社や管理会社への営業
  • 工務店、リフォーム会社との提携
  • 既存の勤務先や取引先からの紹介
  • マッチングサイトの利用
  • 定期清掃契約の獲得

すでに見込み客がいる場合は、契約書、発注書、見積依頼、取引予定先の一覧などを提出すると、売上計画の具体性が高まります。

自己資金を計画的に準備しているか

現在の融資制度では、一律の自己資金要件が設けられていない場合でも、自己資金は重要な審査項目です。

通帳には、一時的に借りて入金したお金ではなく、毎月の収入から継続して貯めた経過が確認できることが求められます。

5.売上計画は「単価×件数」で作成する

清掃業・ハウスクリーニング業の売上計画は、サービスごとの単価と受注件数を使って作成すると説明しやすくなります。

例えば、個人向けハウスクリーニングでは、次のように計算できます。

  • エアコンクリーニング:1万2,000円×月20件=24万円
  • 水回り清掃:3万円×月8件=24万円
  • 退去後清掃:4万円×月6件=24万円
  • その他の清掃:月8万円
  • 月間売上高:合計80万円

ただし、希望する件数を並べただけでは十分ではありません。

「広告から月何件の問い合わせがあるのか」「そのうち何件が成約するのか」「1日に何件まで作業できるのか」まで検討する必要があります。

法人向けの定期清掃であれば、次のように契約単位で計算します。

月間売上高=1社当たりの月額契約料×契約社数+スポット清掃の売上

清掃業には繁忙期と閑散期があります。エアコンクリーニングは夏前に依頼が集中し、退去後清掃は引っ越しが増える時期に忙しくなる傾向があります。毎月同じ売上にするのではなく、季節による変動も反映させましょう。

6.経費計画では見落としに注意する

清掃業・ハウスクリーニング業では、洗剤代だけでなく、移動や人員に関する費用が利益を大きく左右します。

特に確認したいのは、次の経費です。

  • 作業スタッフの人件費
  • 外注費
  • ガソリン代
  • コインパーキング代
  • 車両の維持費
  • 清掃機器の修理・買替費
  • 集客サイトの手数料
  • 広告費
  • 損害保険料
  • キャンセルや再作業への対応費

売上が増えても、遠方の現場が多かったり、外注費が高かったりすると利益が残りません。

「売上高-材料費-外注費-人件費-その他の経費」で毎月いくら残るのかを計算し、そこから借入金を返済できるか確認しましょう。

7.個人事業と会社設立はどちらがよいか

小規模なハウスクリーニングであれば、個人事業として始める方法もあります。設立費用を抑えやすく、手続きも比較的簡単です。

一方、次のような場合は、株式会社や合同会社の設立を検討する余地があります。

  • 不動産会社や管理会社との取引を増やしたい
  • 法人との定期契約を中心にしたい
  • 開業時から従業員を雇用する
  • 将来的に複数の拠点を持ちたい
  • 事業上の信用を重視したい

ただし、「法人のほうが融資を受けやすい」と一概にはいえません。個人事業か法人かよりも、経験、自己資金、取引先、売上の根拠、返済可能性などが総合的に審査されます。

会社を設立してから融資を申し込む場合は、会社設立費用を支払った後も、一定の自己資金が残るように計画することが大切です。

8.廃棄物の持ち帰りには注意が必要

通常の清掃サービスそのものについては、特別な営業許可を必要としないケースが一般的です。

ただし、清掃作業によって出た家庭ごみや不用品を有料で回収し、持ち帰る業務は別に考える必要があります。一般廃棄物の収集運搬を業として行う場合は、原則として業務を行う区域の市町村長による許可が関係します。事業所から出る産業廃棄物の収集運搬についても、別の許可制度があります。

清掃料金に処分費を含めれば自由に持ち帰れる、というものではありません。廃棄物が出る場合は、顧客自身に自治体のルールに従って処分してもらうか、適法な許可業者と連携する方法も検討しましょう。

9.創業融資の申込み前に準備したい資料

清掃業・ハウスクリーニング業で創業融資を申し込む場合は、一般的に次のような資料を準備します。

  • 創業計画書
  • 設備や車両の見積書
  • 自己資金を確認できる通帳
  • 清掃業での経験を示す資料
  • 予定しているサービスと料金表
  • 売上予測の計算資料
  • 見込み客や営業先の一覧
  • 契約書、発注書、見積依頼書
  • 店舗や事務所を借りる場合の賃貸借契約書
  • フランチャイズに加盟する場合の契約資料

融資を申し込む直前になってから計画書を作るのではなく、会社設立や高額な設備の購入前に、必要な資金と申込時期を整理しておくことが重要です。

創業融資を考え始めた方へ。まずは日本政策金融公庫を知っておきましょう

日本政策金融公庫の創業融資を利用するメリットとは?

まとめ

清掃業・ハウスクリーニング業は、小規模でも始めやすい一方、顧客を安定して確保するまでには時間がかかる可能性があります。

創業融資を検討する場合は、機材や車両の購入費だけでなく、売上が安定するまでの広告費、人件費、交通費なども含めて資金計画を作成しましょう。

また、融資審査では、清掃業の経験、集客方法、売上の根拠、自己資金、返済可能性などを具体的に説明する必要があります。

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会社を設立した後に資金不足が判明すると、事業計画を大きく見直さなければならないこともあります。開業時期や設備の購入を決める前に、まずは必要な資金と利用できる融資制度を整理しておきましょう。

清掃業・ハウスクリーニング業での開業や創業融資をご検討の方は、お気軽に当事務所までご相談ください。

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