会社設立について調べ始めると、「定款」「発起人」「資本金」「登記」「代表社員」など、普段あまり聞かない言葉が次々と出てきます。
一つひとつはそれほど難しいものではありませんが、意味が分からないまま会社設立を進めてしまうと、「株式会社と合同会社の違いがよく分からない」「定款に何を書けばいいのか分からない」といったことにもなりかねません。
そこでこの記事では、これから会社設立を考えている方が、まず知っておきたい基礎用語30個を厳選して、できるだけ分かりやすく解説します。
すべてを暗記する必要はありません。
会社設立を進める中で、「この言葉はこういう意味だった」と確認できる程度に理解しておけば十分です。
1.株式会社・合同会社と会社を構成する人に関する用語
1.株式会社
株式会社とは、出資者である株主が株式を保有し、取締役などが会社を経営する会社形態です。
日本では広く知られている会社形態であり、取引先や金融機関などに会社の仕組みを理解してもらいやすいという特徴があります。
一方、設立時には定款認証が必要となるなど、合同会社と比べて設立手続きや費用に違いがあります。
2.合同会社
合同会社とは、出資者である「社員」を中心として運営する会社形態です。
株式会社とは異なり、出資者を「株主」ではなく「社員」と呼びます。
株式会社に比べて設立費用を抑えやすく、定款について公証人の認証を受ける必要もありません。
3.発起人【株式会社】
発起人とは、株式会社の設立を企画し、設立手続きを進める人です。
発起人は会社設立時に少なくとも1株以上を引き受けます。その発起人は会社設立後に株主になります。
一人で株式会社を設立する場合には、自分自身が発起人、株主、取締役となることもあります。
4.株主【株式会社】
株主とは、株式会社の株式を保有する人です。
会社に出資して株式を取得し、原則として保有する株式に応じて議決権を持ちます。
複数人で会社を設立する場合には、誰がどの程度の株式を持つのかも重要になります。
5.取締役【株式会社】
取締役とは、株式会社の業務執行や経営を担う役員のことです。
小規模な株式会社であれば、取締役1名で設立することもできます。
取締役には任期があるため、会社設立時には任期についても確認しておきましょう。
6.代表取締役【株式会社】
代表取締役とは、株式会社を代表する権限を持つ取締役です。
会社を代表して契約などを行います。
取締役が1名だけの小規模な株式会社では、その取締役が会社を代表するケースが一般的です。
7.社員【合同会社】
合同会社における「社員」とは、従業員ではなく、会社に出資してその構成員となる人のことです。
日常会話で使われる「会社員」や「従業員」とは意味が異なるため、初めて会社設立をする方が混同しやすい用語の一つです。
社員で構成する会社形態は他に合名会社、合資会社がありますが今回は割愛させていただきます。
8.業務執行社員【合同会社】
業務執行社員とは、合同会社の業務を執行する社員です。
合同会社では、定款に別段の定めがない場合、原則として社員が業務を執行します。
複数の社員がいる場合には、定款で一部の社員だけを業務執行社員とすることもできます。
9.代表社員【合同会社】
代表社員とは、合同会社を代表する社員です。
株式会社でいう代表取締役に近い役割を担いますが、合同会社では「代表取締役」とは呼びません。
合同会社を設立する際には、「社員」「業務執行社員」「代表社員」の違いを理解しておくと会社内部の仕組みが分かりやすくなります。
2.会社設立前に決めておきたい基本用語
会社形態を決めたら、会社名、所在地、事業内容、資本金などの基本事項を決めていきます。
10.商号
商号とは、会社の正式な名称のことです。
株式会社であれば「株式会社〇〇」、合同会社であれば「合同会社〇〇」のように、会社の種類を含めた名称になります。
使用できる文字には一定のルールがあるほか、他社と誤認されるような商号についても注意が必要です。
会社名は名刺やホームページなどにも長く使用するため、設立前によく検討しておきましょう。
11.本店所在地・本店所在場所
本店所在地とは、会社の本店を置く最小行政区画(市区町村)のことです。
例えば、定款に「当会社は、本店を東京都○○区に置く」と定める場合の「東京都○○区」が本店所在地です。
これに対して、町名や番地などを含めた具体的な住所を本店所在場所といいます。
定款では市区町村までを定め、具体的な本店所在場所は別途決定する方法が一般的です。
12.事業目的
事業目的とは、その会社がどのような事業を行うのかを示すものです。
例えば「インターネットを利用した商品の販売」「建設工事の請負」など、会社が行う事業内容を定款に記載します。
許認可が必要な事業では、事業目的の記載内容が許可申請に影響することもあるため、設立時によく確認しておくことが大切です。
13.資本金
資本金とは、会社設立時に出資者が会社に出資する財産をもとに定められる会社の資本です。
現在は少額の資本金でも会社を設立できますが、「会社を設立できる金額」と「事業を継続するために必要な金額」は別に考える必要があります。
仕入れ、人件費、家賃、広告費など、設立後に必要となる資金も考えて決めましょう。
14.出資
出資とは、会社を経営するために金銭などの財産を提供することです。
株式会社では発起人が株式を引き受けて出資し、合同会社では社員となる人が出資します。
誰がいくら出資するのかは、その後の会社経営にも関係する重要な事項です。
15.任期【株式会社】
株式会社の取締役などには役員として在任する期間である「任期」があります。
任期が満了した場合には、同じ人が引き続き役員を務める場合であっても、原則として役員変更の登記が必要になります。
設立時には将来の登記手続きも考えて任期を決めることが大切です。
合同会社の社員には任期がありません。
16.事業年度
事業年度とは、会社の業績を一定期間ごとに区切る期間のことです。
通常は1年間とし、その期間が終了すると決算を行います。
会社を設立するときには、最初の事業年度をいつからいつまでにするのかも決めます。
17.決算月
決算月とは、会社の事業年度が終了する月です。
会社だから必ず3月決算にしなければならないわけではありません。
会社設立の時期、事業の繁忙期、資金繰りなども考えながら決めることが大切です。
18.発行可能株式総数【株式会社】
発行可能株式総数とは、その株式会社が発行することのできる株式数の上限です。
会社設立時の定款で定める項目の一つです。
3.定款作成と出資に関する用語
会社の基本事項が決まったら、会社の基本ルールとなる定款を作成します。
19.定款
定款とは、会社の基本的なルールを定めたものです。
商号、事業目的、本店所在地など、会社を運営していくための基本事項を記載します。
株式会社、合同会社のどちらを設立する場合でも定款の作成が必要です。
20.絶対的記載事項
絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない事項です。
例えば、株式会社では事業目的、商号、本店所在地、設立時に出資される財産の価額またはその最低額、発起人の氏名・住所などが該当します。
必要事項が欠けていると定款として効力が認められないため、設立時には確認が必要です。
21.定款認証【株式会社】
定款認証とは、株式会社の設立時に、作成した定款について公証人の認証を受ける手続きです。
株式会社では原則として定款認証が必要ですが、合同会社では定款を作成しても公証人による認証は必要ありません。
株式会社と合同会社の設立手続きの大きな違いの一つです。
22.公証役場【株式会社】
公証役場とは、公証人が定款認証などを行う場所です。
株式会社を設立する場合には、公証役場の公証人に定款認証をしてもらいます。
定款認証にも一定の費用が掛かりますが合同会社の定款には認証が不要のため、この費用はかかりません。
23.出資の払込み
会社設立の登記をする前には、定めた出資額を実際に払い込む必要があります。
株式会社では発起人による払込み、合同会社では社員による出資の履行を行います。
登記申請の際には、払込みが行われたことを確認できる書類も必要になります。
4.会社設立登記に関する用語
定款の作成や出資の払込みが終わったら、法務局へ会社の設立登記を申請します。
24.設立登記
設立登記とは、会社を成立させるために行う登記手続きです。
定款を作成しただけでは会社は成立しません。
必要な書類をそろえ、本店の所在地を管轄する法務局へ設立登記を申請します。
25.法務局
法務局とは、会社や法人の登記などを取り扱う役所です。
会社設立登記は、本店所在地を管轄する法務局に申請します。
会社設立前には、どの法務局が管轄になるのか確認しておきましょう。
26.会社設立日
会社設立日は、設立登記を申請した日となります。
会社設立日を特定の日にしたい場合には、法務局の開庁日なども確認しながら登記申請日を決める必要があります。(祝祭日を会社設立日にできません。)
登記の審査が完了するのは申請日より後になりますが、登記が完了すると、申請した日が会社の設立年月日として登記されます。
27.登録免許税
登録免許税とは、会社の設立登記を申請するときに納付する税金です。
株式会社の場合は原則として資本金の額の0.7%で、計算した金額が15万円未満の場合は15万円です。
合同会社も原則として資本金の額の0.7%ですが、計算した金額が6万円未満の場合は6万円となります。
株式会社と合同会社では、この最低額にも違いがあります。
5.会社設立後に目にすることが多い用語
設立登記が完了すると、会社として事業を始めるためのさまざまな手続きを行います。
最後に、設立後によく目にする用語を確認しておきましょう。
28.履歴事項全部証明書
履歴事項全部証明書とは、会社の登記事項を確認できる登記事項証明書の一つです。
商号、本店、事業目的、資本金、役員など、会社の重要な登記事項を確認することができます。
一般に「登記簿謄本」と呼ばれることもあり、銀行口座の開設、各種契約、許認可申請などで提出を求められることがあります。
29.印鑑証明書
会社の印鑑証明書とは、法務局に提出した会社代表者の印鑑について証明する書類です。
会社名義で重要な契約をするときなどに、提出を求められる場合があります。
なお、会社設立登記の申請方法によっては、印鑑の提出をオンラインで行うこともできます。
30.法人番号
法人番号とは、法人に指定される13桁の番号です。
会社設立後、国税庁長官によって法人番号が指定されます。
会社名や所在地などとともに法人番号公表サイトで確認することができます。
会社設立の専門用語は「流れ」と一緒に理解しましょう
会社設立には多くの専門用語がありますが、30個すべてを最初から暗記する必要はありません。
大切なのは、
株式会社・合同会社などの会社形態を決める
↓
商号・本店所在地・事業目的・資本金などを決める
↓
定款を作成する
↓
定款認証を受ける【株式会社】
↓
出資の払込みを行う
↓
設立登記を申請する
↓
会社設立後の手続きを行う
という全体の流れを理解しておくことです。
そのうえで、自分が会社を設立するときに必要となった用語を一つずつ確認していけば十分です。
特に、商号、本店所在地、事業目的、資本金、会社形態、出資者、役員、決算月などは、会社設立後に簡単に変更できるものばかりではありません。
「まず会社を作って、後から考えればいい」と進めてしまうと、設立後に変更登記が必要になったり、許認可申請など別の手続きに影響したりすることもあります。
会社設立は、単に登記をすることだけが目的ではありません。
設立後にどのような事業を行い、どのように会社を運営していくのかまで考えながら、会社の基本事項を決めることが大切です。
会社設立についてお困りの方へ
会社設立では、株式会社と合同会社のどちらを選ぶかというところから、商号、本店所在地、事業目的、資本金、役員構成、決算月など、設立前に決めなければならないことが数多くあります。
一つひとつをご自身で調べながら手続きを進めることもできますが、「自分の場合はどのように決めればよいのか分からない」「定款や書類に間違いがないか不安」「会社設立よりも事業の準備に時間を使いたい」という方も少なくありません。
当事務所では、これから事業を始める方の状況や今後の事業計画をお伺いしながら、会社設立の準備から手続きまでサポートしています。
会社を設立してから「こうしておけばよかった」とならないためにも、会社設立について分からないことがございましたら、手続きを進める前にお気軽にご相談ください。
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