行政書士の田中さん

株式会社設立時の「発起人」とは?役割・決め方・注意点をわかりやすく解説

株式会社を設立するときに、必ず登場するのが「発起人」という言葉です。

会社設立の手続きを調べていると、
「発起人と株主は同じなのか」
「代表取締役とは何が違うのか」
「発起人は1人でもよいのか」
と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。

発起人は、簡単にいうと株式会社を作る人・設立手続きを進める中心人物です。

この記事では、株式会社設立時の発起人について、役割や決め方、注意点をわかりやすく解説します。

1.発起人とは

発起人とは、株式会社を設立する際に、定款を作成し、会社設立の手続きを進める人のことです。

会社法では、株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、発起人全員がこれに署名または記名押印しなければならないとされています。電子定款の場合は、電子署名等による対応が必要になります。

つまり、発起人は単なる協力者ではなく、会社設立の出発点となる重要な立場です。

また、定款には「発起人の氏名または名称及び住所」を記載しなければならないため、誰を発起人にするかは、会社設立前に決めておく必要があります。

2.発起人は何をする人なのか

発起人の主な役割は、以下になります。

定款を作成する

株式会社を設立するには、まず会社の基本ルールである定款を作成します。

定款には、会社の目的、商号、本店所在地、出資される財産の価額、発起人の氏名・住所などを記載します。これらは、株式会社設立時に欠かせない基本事項です。

特に「会社の目的」は、設立後にどのような事業を行う会社なのかを示す重要な項目です。あとから変更することもできますが、変更登記などの手間や費用がかかるため、設立時にある程度余裕を持って考えておくことが大切です。

定款に署名または記名押印する

発起人は、作成した定款に署名または記名押印します。

発起人が複数いる場合には、発起人全員が定款に関与することになります。誰か1人だけが勝手に進めるのではなく、発起人全員が設立内容を確認しておくことが大切です。

出資をする

発起人は、会社設立時に株式を引き受け、出資をします。

会社法上、各発起人は、株式会社の設立に際して設立時発行株式を1株以上引き受けなければならないとされています。

つまり、発起人になる人は、単に名前だけを出すのではなく、原則として設立時の株主にもなるということです。

設立手続きを進める

発起人は、定款認証、資本金の払込み、設立時役員の選任、登記申請に必要な書類の準備など、会社設立に必要な手続きに関わります。

株式会社の定款は、公証人による認証を受ける必要があります。

3.発起人と株主・役員の違い

株式会社設立では、「発起人」「株主」「取締役」「代表取締役」など、似たような言葉が出てきます。

それぞれの違いを簡単に整理すると、次のようになります。

区分

簡単な意味

発起人

会社が成立するまでの間、設立手続き(定款への署名)や出資を行う人

株主

会社に出資し、会社設立後株式を持つ人

取締役

会社の経営を行う役員

代表取締役

取締役のうち会社を代表して契約などを行う人

発起人は、会社設立前の立場です。
一方で、株主や取締役は、会社設立後の立場です。

ただし、実際の小規模な会社設立では、
発起人=株主=代表取締役
となるケースも多くあります。

たとえば、1人で株式会社を設立する場合、その人が発起人となり、株主となり、代表取締役にもなることがあります。

4.発起人は1人でもよいのか

株式会社の発起人は、1人でも問題ありません。

現在は、1人で株式会社を設立することも一般的です。1人会社の場合、発起人が1人で定款を作成し、出資を行い、会社設立手続きを進める形になります。

一方で、複数人で会社を設立する場合には、共同創業者がそれぞれ発起人になるケースがあります。

ただし、複数人で発起人になる場合には、出資割合や議決権、将来の経営方針について、事前にしっかり話し合っておくことが重要です。

5.複数人で発起人になる場合の注意点

複数人で株式会社を設立する場合、発起人をどう決めるかは非常に重要です。

特に注意したいのは、次の点です。

出資割合を慎重に決める

発起人は、設立時に株式を引き受けます。

そのため、誰がどれだけ出資するかによって、設立後の株主構成が決まります。

たとえば、2人で会社を設立して50%ずつ株式を持つ場合、重要な意思決定で意見が分かれると、話が進まなくなる可能性があります。

一見公平に見える割合でも、将来の経営判断に影響することがあるため、出資割合は慎重に決める必要があります。

名前だけの発起人にしない

「知人に頼まれたから」「とりあえず名前だけ貸す」という形で発起人になるのは避けるべきです。

発起人は、会社設立に関与する重要な立場です。設立内容や出資内容を理解しないまま発起人になると、あとでトラブルになる可能性があります。

設立後の役割も確認する

発起人になった人が、必ず取締役になるわけではありません。

発起人は会社を作る人、取締役は会社を経営する人です。
この2つは別の立場です。

そのため、複数人で会社を設立する場合には、設立後に誰が代表取締役になるのか、誰が経営に関与するのか、誰が株主として出資だけをするのかを整理しておくことが大切です。

6.発起人を決めるときのポイント

発起人を決める際には、単に「一緒に始める人だから」という理由だけで決めるのではなく、次のような点を確認しておくとよいでしょう。

設立後も一緒に経営するのか

一緒に事業を進める予定の人であれば、発起人になることは自然です。

しかし、設立後は経営に関与しない人や、一時的に協力するだけの人を発起人にする場合には注意が必要です。

出資額と株式割合に納得しているか

会社設立時の株式割合は、設立後の議決権や利益配分にも関係します。

あとから「本当はもっと株を持ちたかった」「経営にもっと関与したい」といった不満が出ると、会社運営に影響することがあります。

将来のトラブルを想定しているか

複数人で会社を始めるときは、最初は関係が良好でも、将来意見が分かれることがあります。

そのため、発起人を複数にする場合には、設立前の段階で、出資割合、役員構成、意思決定の方法、退任・株式譲渡のルールなどを考えておくことが大切です。

7.発起人についてよくある質問

Q1.発起人と代表取締役は同じ人でなければいけませんか?

同じ人である必要はありません。

ただし、1人で株式会社を設立する場合には、発起人がそのまま代表取締役になるケースが多いです。

Q2.発起人は法人でもなれますか?

発起人は、個人だけでなく法人がなることもあります。

ただし、小規模な会社設立では、個人が発起人になるケースが一般的です。

Q3.発起人は必ず出資しなければなりませんか?

はい。会社法上、各発起人は設立時発行株式を1株以上引き受ける必要があります。

そのため、発起人になる人は、設立時の出資者にもなると考えておく必要があります。

8.まとめ:発起人は会社設立のスタート地点になる重要な立場

株式会社設立時の発起人は、定款の作成や署名・記名押印、設立時株式の引受けなどを行う、会社設立の中心となる人です。

1人で設立する場合は、発起人・株主・代表取締役が同じ人になるケースも多く、比較的シンプルに進められます。

一方で、複数人で設立する場合は、発起人を誰にするか、出資割合をどうするかが、設立後の会社運営に影響することがあります。

当事務所では、株式会社設立に必要な書類作成だけでなく、発起人・出資割合・株主構成・役員構成の整理についてもご相談いただけます。

「自分の場合はどう進めればよいか分からない」という方は、会社設立の手続きに入る前に、ぜひお気軽にご相談ください。

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