羽田空港を抱え、ものづくり企業の集積も厚い東京都大田区は、「現場に強い事業」「移動が多い事業」「小さく始めて拡げる事業」と相性が良いエリアです。
「大田区」でいざ会社を設立しようとなると「定款の認証手続きはどこでするの?」「創業するのに融資を受けるには?」といった、実務的な疑問にぶつかるはずです。
この記事では、大田区で起業する際に知っておくべき手続きの管轄情報や、大田区ならではのメリット、活用すべき支援制度について解説します。
大田区で会社設立をする3つのメリット

どのような理由で起業を考えている人は「大田区」を選ぶのでしょうか。それは大きく3つあります。
① 羽田空港が近く、移動と商談の組み立てがしやすい
羽田空港に近く、出張や来客がある業種ほど「移動の方法」がスムーズになります。空港近接の開発として、HANEDA INNOVATION CITY(HICity)なども整備され、ビジネスの動線を作りやすい土台があります。
② ものづくりの集積が厚く、試作・加工・連携しやすい
製造業が盛んな地域として知られ、区内のものづくり企業の集積を前提にした取組もされています。機械加工・試作・小ロット対応など、創業初期に起きがちな「すぐ確認したい・すぐ作りたい」を近距離で行いやすいのは、事業運営上の強みになります。
③ 「拠点の置き方」を調整しやすく、固定費の設計がしやすい
駅周辺の利便性を取りにいく選択も、運用重視で固定費を抑える選択も取りやすく、事業モデルに合わせて拠点を設計しやすいのが特徴です。
2. 【保存版】大田区の会社設立・管轄リスト
ここが最も重要です。会社設立には「定款認証」「登記申請」が必要ですが、手続きをスムーズに進めることが早く事業を進めるのに重要なことですので以下の管轄リストをご覧ください。
| 手続き | 機関名 | 所在地・注意点 |
|---|---|---|
| 定款認証 | 公証役場 | 大田区内には2箇所あります。 ・大森公証役場(大田区大森北1-17-2) ・蒲田公証役場(大田区西蒲田7-5-13) |
| 法人登記 | 東京法務局(城南出張所) | 【注意】大田区鵜の木2-9-15 ※会社の設立登記は九段下の「本局」が管轄ではありません。 |
プロのアドバイス:
① 定款認証は東京都内のいずれの公証役場であれば認証ができます。
②合同会社設立の場合は、定款認証を受ける必要は、ありません。
3. 大田区で利用できる「創業融資」
会社設立時には、事業を軌道に乗せるための資金確保が欠かせません。大田区には区が主導する「大田区中小企業融資あっせん制度「開業資金」」と日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」という創業融資があります。
| 名 称 | 機関名 | 所在地・注意点 |
|---|---|---|
| 大田区中小企業融資あっせん制度「開業資金」 | 大田区(産業振興課) | 大田区南蒲田1-20-20 |
| 新規開業・スタートアップ支援資金 | 日本政策金融公庫(大森支店) | 大田区大森北1-15-17 |
一般的な融資よりも低金利で借りられるため、自己資金だけでスタートする予定の方も、一度検討してみる価値があります。
※大田区中小企業融資あっせん制度「開業資金」の相談場所は区役所本庁舎ではないため、ご注意ください。
▼大田区の創業融資制度についての詳細はこちら
https://lp.chuo-office.com/sub-yushi1-71/
4. 登録免許税が半額に?「特定創業支援等事業」
これから会社を設立する方に絶対に知っておいてほしいのが、「特定創業支援等事業」です。
これは、大田区が実施する「創業セミナー」や「個別相談」を一定期間受けることで、区から証明書が発行される制度です。この証明書があると、会社設立時の登録免許税が半額になる(株式会社なら最低15万円→7.5万円)という大きなメリットがあります。(他にも様々なメリットがあります。)
ただし、登録免許税の減額には設立登記をする「前」に受講を完了させる必要があります。「知らなかった」では済まされない大きな節約ポイントですので、スケジュールには余裕を持ちましょう。
▼特定創業支援等事業の受け方・メリット詳細はこちら
https://lp.chuo-office.com/ota-sogyo-shien/
5. 大田区のオフィス事情(賃料・エリアの特徴など)

大田区のオフィス選びは、移動のしやすさ・作業環境・固定費のバランスを見ながら、エリアごとに「何を優先するか」を決めるのがポイントです。
- 蒲田エリア: 交通利便性が高く、来客・採用・打合せなど「人の出入り」が多い事業で拠点を置きやすいエリアです。駅からの分かりやすさを優先したい場合は、まず蒲田周辺で物件を探しましょう。
- 大森・平和島エリア: 住環境と事業用物件が混在し、運用重視の拠点設計をしやすいエリアです。
- 羽田・天空橋エリア: 羽田周辺は空港近接の強みがあり、HICityなどの施設整備も進んでいます。研究・開発・ものづくり系や、国内外への移動が多い業種では、拠点の置き方次第で日々のストレスが軽減されるでしょう。
まとめ:大田区での設立は「管轄」と「事前準備」が鍵
大田区での会社設立は、羽田空港に近い動線と、ものづくりの集積を活かして「事業展開」を設計しやすいのが特徴です。
ご自身で手続きを行う際は、管轄間違いによるタイムロスに十分ご注意ください。 もし「手続きが不安」「事業計画に集中したい」という場合は、大田区エリアに詳しい専門家(行政書士、司法書士や税理士)への依頼も検討してみてください。

