会社を設立する時、「資本金はいくらにするか」や「誰と組むか」には慎重になりますよね。
でも、意外と見落とされがちなのが“株主構成”です。
実はこの持株比率を間違えると、設立後に思わぬトラブルを招き、最悪の場合、社長の座を追われることも……。
本記事では、会社設立時に知っておくべき株主構成の基本から、経営を安定させるための具体的な持株比率の考え方まで、実例を交えながら分かりやすく解説します。
起業を考えている方、または共同創業を予定している方は、ぜひ最後までお読みください。
1.株主とは何か?その基本的な役割

会社を設立する際、「株主」とは会社にお金を出して出資する人のことを指します。
この出資したお金が会社の資本金になります。出資することで、株主は会社の「株式」を受け取る権利を得ます。
つまり、株主は会社の所有者の一人であり、利益の一部(配当)を受け取ることもできますし、経営方針などについて意見を述べる「議決権」も持つことになります。
会社設立前に「発起人(ほっきにん)」という人が出資をして会社設立後に株主となります。発起人は、会社をゼロから立ち上げる人のことで、最低でも1株は出資しなければなりません。たとえば、1株1万円であれば、最低1万円の出資が必要です。
2.株主と役員(取締役)の違い

混同しがちですが、「株主」と「役員」は別の立場です。
株主はあくまでお金を出してくれる出資者。一方、役員(取締役など)は会社を運営する人で、株主からその役割を委任されている存在です。
ただし、小規模な会社の設立の場合、発起人自身が株主であり、同時に役員も兼ねるケースが多く見られます。
3.株主構成とは何か?

「株主構成」とは、誰がどれだけ株を持っているか、という割合のことです。
これは会社の所有をどう分けているか、を表すものです。株主構成は出資額に応じて決まります。
例えば、資本金500万円の会社を、AさんとBさんがそれぞれ250万円ずつ出資して設立した場合、株主構成はAさん50%、Bさん50%になります。
出資額に応じて株式数が決まり、その割合が「持株比率」と呼ばれます。
4.なぜ株主構成が重要なのか?

株式会社では、最終的な意思決定は「株主総会」で行います。たとえば、取締役を選ぶ・辞めさせる・定款を変えるといった重要な決議は、株主総会で多数決により決まります。
このとき、どれだけの発言権があるかは「持株比率」で決まります。
持株比率が高い株主ほど、発言力が強く、会社の意思決定に対する影響力も大きくなります。
したがって、設立時に誰がどれくらい株を持つかを慎重に決めておかないと、のちのちトラブルの原因になることもあります。
5.複数人で起業する際の注意点

共同で会社を設立する場合、特に注意が必要です。
例えばAさんとBさんで会社を立ち上げ、出資比率を50:50にしたとします。一見、平等でよさそうに見えますが、意見が対立したときには、どちらも過半数を持っていないため、会社の意思決定が止まってしまう可能性があります。
➡ 解決策:どちらかが必ず過半数(例:51%)を持つようにすること。70:30などの構成も効果的です。
まとめ:設立時の株主構成は未来の経営を左右する
会社設立時に「株主構成」をどう設計するかは、その後の経営に非常に大きな影響を及ぼします。
持株比率次第で、社長の地位が不安定になったり、意思決定がスムーズにできなくなったりすることもあります。
とくに複数名で会社を立ち上げる場合は、お互いの信頼関係だけに頼らず、数字(持株比率)で明確にルールを決めておくことが重要です。
そして出資ではなく「借入」例えば日本政策金融公庫の創業融資という手段を利用することで、株主を増やさずに資金を調達することで、経営の自由度を保つことも可能です。