銀座、日本橋、京橋、そして勝どき・晴海などのベイエリア。 歴史と革新が融合する東京都中央区は、ビジネスの拠点として非常に人気の高いエリアです。
「中央区」というブランド力は魅力的ですが、いざ会社をつくるとなると「定款の認証手続きはどこでするの？」「創業するのに融資を受けるには？」といった、実務的な疑問にぶつかるはずです。
この記事では、中央区で起業する際に知っておくべき手続きの管轄情報や、中央区ならではのメリット、活用すべき支援制度について解説します。
中央区で会社設立をする3つのメリット
なぜ、多くの経営者が渋谷や新宿ではなく「中央区」を選ぶのでしょうか。その理由は大きく3つあります。
① 「信用」という資産が得られる
中央区（特に銀座・日本橋・京橋エリア）の住所は、古くから日本の商業の中心地として認知されています。名刺やWebサイトに「中央区」の住所があることは、取引先や金融機関に対して「しっかりとしたビジネスを行っている」という安心感を与えます。BtoBビジネスや高単価なサービスにおいては、この「住所のブランド力」が成約率を後押しすることさえあります。
② 交通アクセスの利便性が高い
東京駅が徒歩圏内にあるエリアが多く、新幹線を使った地方出張や、地方からの来客対応に圧倒的な強みがあります。また、羽田・成田空港へのアクセスも良く、グローバルな展開を考える企業にとっても最適です。
③ 創業支援の風土がある
老舗企業が多い一方で、中央区は新しい風を入れることにも積極的です。区独自の融資制度や相談窓口が充実しており、スモールスタートを切りやすい環境が整っています。
2. 【保存版】中央区の会社設立・管轄リスト
ここが最も重要です。会社設立には「定款認証」「登記申請」が必要ですが、中央区は手続き先が特殊なケース（区外にある等）があるため注意が必要です。
| 手続き | 機関名 | 所在地・注意点 |
|---|---|---|
| 定款認証 | 公証役場 | 区内には5箇所あります。 ・京橋公証役場（京橋1-1-10） ・日本橋公証役場（日本橋兜町1-10） ・銀座公証役場（銀座4-6-1） ・八重洲公証役場（八重洲1-7-20） ・昭和通り役公証役場（銀座4-10-6） |
| 法人登記 | 東京法務局（本局） | 【注意】千代田区九段南1-1-15 ※会社の設立登記は九段下の「本局」が管轄です。 |
プロのアドバイス：
① 定款認証は東京都内のいずれの公証役場であれば認証ができます。
②合同会社設立の場合は、定款認証を受ける必要は、ありません。
3. 中央区で利用できる「創業融資」
会社設立時には、事業を軌道に乗せるための資金確保が欠かせません。中央区には区が主導する「創造支援資金」と日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」という創業融資があります。
| 名 称 | 機関名 | 所在地・注意点 |
|---|---|---|
| 創造支援資金 | 中央区役所（区民部商工観光課相談融資担当） | 千代田区九段南1-1-15 |
| 新規開業・スタートアップ支援資金 | 日本政策金融公庫（東京中央支店） | 中央区新川1-17-28 |
一般的な融資よりも低金利で借りられるため、自己資金だけでスタートする予定の方も、一度検討してみる価値があります。
※創造支援資金では、登記地が中央区内であっても、事業実態が中央区内にない場合は、要件に該当しません。
（例）事業所が「法人登記及び住所利用」や「郵便物の受け取り」のみに限定されたバーチャルオフィス契約の場合
▼中央区の創業融資制度についての詳細はこちら
https://lp.chuo-office.com/sub-yushi1-71/
4. 登録免許税が半額に？「特定創業支援等事業」
これから会社を設立する方に絶対に知っておいてほしいのが、「特定創業支援等事業」です。
これは、中央区が実施する「創業セミナー」や「個別相談」を一定期間受けることで、区から証明書が発行される制度です。この証明書があると、会社設立時の登録免許税が半額になる（株式会社なら最低15万円→7.5万円）という大きなメリットがあります。（他にも様々なメリットがあります。）
ただし、登録免許税の減額には設立登記をする「前」に受講を完了させる必要があります。「知らなかった」では済まされない大きな節約ポイントですので、スケジュールには余裕を持ちましょう。
▼特定創業支援等事業の受け方・メリット詳細はこちら
https://lp.chuo-office.com/chuo-sogyo-shien/
5. 中央区のオフィス事情（賃料・バーチャルオフィスなど）
「中央区は家賃が高い」というイメージがありますが、エリアを細かく見れば選択肢は豊富です。
- 日本橋・銀座エリア: 賃料は都内最高峰ですが、圧倒的なブランド力があります。最近では、一等地の住所を月額数千円〜で利用できる「バーチャルオフィス」や「シェアオフィス」も増えており、コストを抑えて登記することも可能です。
- 八丁堀・茅場町エリア: 東京駅に近い割に、比較的リーズナブルな賃貸オフィスが見つかりやすいエリアです。
- 勝どき・晴海エリア: タワーマンションの一室をSOHOとして利用したり、新しいコワーキングスペースを活用するスタートアップが増えています。
まとめ：中央区での設立は「管轄」と「事前準備」が鍵
中央区での会社設立は、ビジネスの信頼性を高める素晴らしい選択です。 しかし、「定款認証は都内ならどこでも」「法務局は九段下」といった管轄の複雑さは、23区内でもトップクラスです。
ご自身で手続きを行う際は、管轄間違いによるタイムロスに十分ご注意ください。 もし「手続きが不安」「事業計画に集中したい」という場合は、中央区エリアに詳しい専門家（行政書士、司法書士や税理士）への依頼も検討してみてください。
